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2022.11.22

失敗はどんどんしてほしい!怖がらずにぜひ挑戦を。[後編]/沢根スプリング株式会社/沢根巨樹さん

前編では、失敗をたくさんしてでもチャレンジしてほしいとお話された沢根巨樹さん。後編では、沢根スプリング株式会社の経営理念でもある「腹八分目経営」についてお話をお伺いします。

 

――「腹八分目経営」という経営理念があるとのことですが、どういったものなのでしょう。

人生で1/3以上の時間は会社にいるじゃないですか。そう考えたときに、仕事している時間を有意義にしないと、人生もあまり楽しくなくなってしまうのではないかと思って。できるだけワクワクするような環境にはしたいんですけど、働いている皆さんの感じ方次第になるので、どうでしょうね(笑)。

ただ、うちの会社は残業が少ないです。皆さん定時でパッと帰られています。だからプライベートの時間はしっかり取れる環境ですね。

良い仕組みはできているので、良い人生にするためにプライベートの時間も有意義に使っていただければいいなと思います。

経営理念に「腹八分目経営」というものがあります。80%で満足するという考え方です。人間関係作りや、勉強、本を読むなど緊急ではないけど重要なことに残りの20%を使って人生を豊かにしてほしい。一方で、若い人にとっては時間を自由に使える今を仕事に没頭して稼ぐという考え方も忘れないでほしい。ワークライフバランスなんていう言葉はもっと歳をとってから使ってほしいですね(笑)。

 

▲本社では、様々なばね製品が飾られています。

 

 

▲本社の階段踊り場の壁には公式キャラクターのイラストがあります。こちらはなんと沢根社長の手描きだそうです。

 

――社風は先代から受け継がれてきたのですね。

いっとき社風を思いっきり変えようかと思ったこともありましたが、なかなかそれだとついていけない、という声もあって。確かにそうだなと。先代から続いている良いところがたくさんあるので。

良い仕組み作りは十分できているので、今後はその仕組みをどう活かすかや、人材教育に力を入れていきたいなと思います。自分も、社員から「こんな人に言われたくない」と思われないように(笑)、社長としていろいろと気を付けています。

 

――人材教育のための具体的な取組みはありますか。

毎週木曜日の16時から17時に、社内勉強会を実施しています。社内の誰かが講師となって何かを教えたり、社外から講師を呼んで講演をしていただいたり、様々なことをしています。最近取り入れた「ディベート」(あるテーマに関して異なる立場に分かれ、議論をするもの)では、異なる建物やチームで働いていて、普段話す機会のない社員同士でコミュニケーションをとることができ、いい人間関係の構築につながるところに価値を感じています。また、自分の考えたことを皆の前で発表したり発言したりするのは練習しないとうまくならないし、そこを避けているとリーダーシップを取れる立場になれないんですよね。せっかく能力が高くても、なんか伸び悩んでいるな、という人はコミュニケーション能力が低い、という原因に行き着くのかなと。そのことをよく感じるので、コミュニケーション能力を伸ばすという目的でも行っています。あとは単純にやっていて面白い、というのもあります。

 

――勉強会のテーマはどのように決めるのでしょうか。

テーマは様々です。ばねに関することや、製造業なので安全に関することが多いですが、特に「これはダメだ」というものもないので自由です。

今(※取材は10月末)くらいの時期から来年の年間計画を作っていて、毎年1月に社内勉強会のテーマを社員に提示します。誰が何を教えるのか、どういう人を対象にするのかというところまで早い段階から決めます。

この勉強会も腹八分目経営のうちの2割にあたるもので、何かに使える時間、余力といったら変ですがそういうゆとりを残しておくイメージです。ただ、若くてエネルギーがあるうちに一生懸命働いて稼ぐことも非常に大きな価値があることなんですよね。

どんなものでのいいから、働く目的は持っていてほしいなと思います。

これから時代が変わっていくことで、もしかしたら今の自分の仕事は将来なくなってしまうかもしれない。ぜひ2割の時間でいろいろ学んで、時代に対応できる人に成長していってくれたらいいなと思います。

 

――社長が考える、腹八分目経営=残り2割の余裕がもたらす具体的な良い影響はありますか。

社内におけるゆとりがもたらす効果は世界最速工場を目指す上での仕事の取り掛かりの早さです。

停まっている設備や人がいないとすぐに仕事に取りかかれません。よって設備の稼働率は弊社では重視しません。

また、考える力(研究開発)もゆとりから生まれます。現在医療部品の研究開発をしていますが、それには何度も試作や実験を繰り返します。色々な人に聞いたり、調べたりする時間を持ち、課題をクリアするという成功体験を積むことで、時間はかかりますが自ら考える力はつきます。

ただし、これらを行う必要条件としては、ある程度監督する上司がいることです。

これらは動きやすい反面、怠けるという悪い面があるので期限を決めたり、責任を持たせたりするよう注意していますね。

 

 

取材の最後には、両足を宙に浮かせた状態で行う腕立て伏せ「プランシェ」を披露してくださいました。プランシェができると会話のきっかけ作りになるのでは、と思って身につけられたそうです。気さくでユーモアのある沢根社長だからこそ、さらにチャレンジしやすい環境を作っているのかもしれません。

 

今ある仕事が10年後、20年後にも存在するかは分かりません。そんな時代の中で、コミュニケーション能力を磨くことや、人との関係を築くことは今後仕事をする上で大切な核となります。また、少しのゆとりを持つことで考える時間が生まれます。より良いものを生み出すための試行錯誤の時間は必要不可欠で、何度も挑戦や失敗を繰り返すことで、成功に近づきます。その姿勢を大切に、失敗を怖がらず自分の「やってみたい!」を実現することで、新しい価値や魅力が生まれてくるのではないでしょうか。

 

沢根スプリング株式会社HP:https://www.sawane.co.jp/

 

 

 

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