イベント2018.06.11
「地域とアート」実施レポート
平成30年3月17日(土曜日)に、「地域とアート 草の根アートプロジェクトからの考察 草の根アートプロジェクトは地域を変えていくことができるのか?」を開催しました。
このセミナーは、全国で活動されている草の根アートプロジェクトの事例発表を通して、市民の創造的活動を支える地方版アーツカウンシルの必要性と役割について考察するために開かれました。ここでいう草の根アートプロジェクトとは、市民が各々の問題意識や情熱から立ち上げた、アートの力で課題を解決したり、地域の魅力を引き出したりしようとする取り組みのことです。
そんな草の根アートプロジェクトを実践する15の団体に全国からお集まりいただき、それぞれの活動をご紹介いただきました。この中には、浜松市で「みんなのはままつ創造プロジェクト」に採択された経験のある3つの団体も含まれています。(参加団体の詳細はチラシをご覧ください。【参考資料】「地域とアート」チラシ)
活動を始めたきっかけや、活動の手法、地域の事情はそれぞれですが、「住民が地域に誇りを持てるようにしたい」とか「人間の生活の基本に立ち返り、現代社会のあり方を考え直してみよう」といった目的が共通しているプロジェクトもありました。それぞれが生活する地域の中で、「このままでいいのかな」「この状況を何とかしたい」といった問題意識が皆さんの活動の源になっているようです。また、活動を続けていく上での課題として、資金調達・運営体制の強化など経営に関することや、アートプロジェクト同士のネットワーク作り、そして、行政などの支援に期待することとして、長期的な評価や、社会的認知を向上させるための市民への働きかけなどが挙げられました。
イベントの後半は、シンポジウムを行いました。
今後の草の根アートプロジェクトに期待されていることというテーマでは、各地の事例に触れながら、日本中(場合によっては世界中)とネットワークを構築してプロジェクト同士で助け合うことや、自分の思いだけでなく他の人の思いを汲んで表現することが大切であるというお話がありました。
そして、草の根アートプロジェクトをアーツカウンシルなどの中間支援組織はどう支えていくべきかというテーマでは、現在、日本各地で立ち上げられたアーツカウンシルが抱えている課題を取り上げながら、アーツカウンシルは、芸術文化活動の現場を見てどういう状況かを判断し、どういう政策をすれば文化施設やイベント、助成制度がより機能するのかを提言すべきであることや、市民自身が文化政策を担うようにするにはどのようにしたらよいか、といったことが議論されました。
このセミナーを通して、アートには、様々な人を認め、勇気づけ、地域を取り巻く環境を変える力があることを改めて実感しました。これからも、市民の皆さんが主役の活動を支えていく仕組みを、一緒に考えていきたいと思います。