2023.03.20
ものづくりのまち浜松を雑貨店の立場から応援する[前編]/GREENBOX 知久真理子さん
GREENBOX(グリーンボックス)は、毎日の生活を豊かにしてくれるインテリアや雑貨、洋服、アクセサリー、キッチン用品など幅広い商品を取り揃えるライフスタイルショップです。地域の食卓に健康と美味しさを提供する健康惣菜知久屋の桜台店・医大前店に併設しており、多くのお客さんで賑わっています。元々はベトナム雑貨店だったというGREENBOXですが、現在は地域の素敵な雑貨を多く取り揃えたお店として注目を集めています。どのような経緯で今のスタイルとなったのかお話を伺いました。
▲GREENBOXマネージャーを務める知久 真理子さん
――現在、地域の雑貨を多く取り揃えていらっしゃると思いますが、始めから地域のものを集めていたのでしょうか。
GREENBOXは20年程前にスタートした雑貨店で、元々はベトナム雑貨を多く取り揃えるお店でした。ベトナムから仕入れた商品を、ただひたすら陳列して販売するスタイルでしたが、そのスタイルで本当にいいのかだんだん疑問を持つようになりました。
私は昔、アメリカやイギリスに住んでおり、アパレル関係の仕事をしていたのですが、海外の製品を取り扱うようになったことで改めて日本の製品の質の高さに気付きました。更に、浜松の遠州織物の魅力を知ってからはその素材の良さをより多くの方に知ってほしいと思うようになりました。日本に住んでいると、海外の商品に目を向けがちですが、お店をきっかけに地元の良いものに目を向けてほしいと思い、自分たちが本当に良いと思うものを取り揃えたお店にしようとコンセプトを一新しました。
――遠州織物に特に思い入れがあるのですね。
遠州織物の特徴は、その生産工程にあります。昔ながらの織機と、熟練した職人の手によって行われることで、他にはないふっくらとした優しい風合いになります。実際に触ってみると分かりますが非常に肌触りが良く、遠州織物で作った洋服はとても着心地が良いです。少しマニアックな話になりますが、遠州織物は「シャトル織機」という一般の織機と比べて織るスピードが遅い機械を使っています。通常よりスピードが遅いといっても、私たち素人から見るととても速いスピードなのですが、そのスピードの違いによって空気を含んだ肌触りの優しい素材に仕上がるのです。そのため、大量生産には不向きですが一つ一つ丁寧に作られた唯一無二の製品となります。浜松の人でも遠州織物の存在を知らない人は多いと思いますが、こんなに良い素材を知らないことはもったいないと思っています。ものが溢れている現代では、唯一無二の遠州織物は非常に高い価値を持つのではないでしょうか。
▲遠州織物というと、和風なデザインをイメージされるかもしれませんが様々なデザインがあります。
GREENBOXでも遠州織物を多く取り揃えています。「#GB」というブランドで遠州織物の洋服を出しており、地産地消ではないですが、浜松の良い製品を浜松で売ることで輸送費を抑えつつ適切な価格で提供することができます。現代はオンラインショップも発展していますが、リアルな店舗で売ることで、直接お客様から反応を聞き、その感想を作り手の方に伝えることでよりお客様の需要に沿ったものを用意することができます。また、遠州織物は非常に丈夫な素材なので長く愛用することができ、SDGsにも貢献することができます。
――浜松の魅力的な製品はどうやって発掘しているのでしょうか。
足で稼ぐのがほとんどです!(笑)自分が素敵だな、気になるなと思うものの作り手の方へ直接お話を聞きに行ったり、口コミや人から聞いたりした情報を元に調べることが多いです。作り手の方は、採算度外視で本当に良い製品を作りたい・・・という方が多く、こちらも熱意をもらいます。GREENBOXでは浜松の素敵な雑貨を多く取り揃えている点を注目されることが多いですが、浜松の雑貨を集める、というよりかは魅力的な製品を集めていたら浜松産だった、という感覚が近いです。地産地消は一つの柱ですが、併設の知久屋に来ていただくお客様は健康志向の方や、健康に対して関心の高い方が多いので、そういった方たちが知久屋では買えないもの、食品以外の部分を提案していきたいとも思っています。
GREENBOXの現在のスタイルは、遠州織物との出会いが大きなきっかけとなっていることが伺えました。地産地消を一つの柱に浜松の魅力的な雑貨を取り揃えるにあたって、地元の方とのコミュニケーションを大切にする姿勢も知ることができました。
後編では、お店に対するお客様からの反応や、今後の展望についてお聞きします。