人2024.03.15
[クリエイティブコア紹介]浜松市アクトシティ音楽院事業
浜松市創造都市推進会議では、市内で行われている創造的な事業を「クリエイティブコア事業」と位置付け、これら事業を市民の皆様へ発信する取り組みを2021年から始めました。創造的な活動の情報を共有することで、より多くの皆様に新たな発想や活動のヒントを得ていただきたいと考えています。
今回は、その中でも特に注目すべき5事業[モニタリング事業]である浜松市アクトシティ音楽院事業の取り組みをお伝えします。
浜松市アクトシティ音楽院事業 / 公益財団法人浜松市文化振興財団
こんなことをしています
音楽界の国内外において活躍する人材の育成や、市民の皆様に、音楽文化に関する生涯学習の機会と情報を提供することで、市民文化の向上と地域社会の活性化を図っています。特に次代の文化芸術や地域文化の担い手の育成に力を入れ、子どもたちの豊かな感性を育み、文化の力で市民の暮らしを豊かなものにすることを目的としたソフト事業を展開しています。
事業の中心人物に聞きました。
太田 清香(OTA Sayaka)
普段はどんなお仕事をしていますか?
現在担当しているのは主に、コンサートの企画から開催・運営までを市民の方に体験していただく「主催者育成セミナー」と、子どもたちが楽器や音楽に触れ、演奏の楽しさ・成果発表する喜びを感じてもらう「子ども音楽セミナー」です。セミナーを実施するための企画や運営方法を考え、講師や参加者との連絡調整からセミナー当日の現場対応までこなしています。
事業に関わったきっかけを教えてください。
小学5年生から高校3年生までの約8年間、浜松市の合唱団であるジュニアクワイア浜松に在籍し、定期演奏会や海外遠征、数々の依頼演奏など貴重な経験をしました。その活動を支えてくださっていた財団職員の方に憧れて、私も音楽活動をする人のサポートができるような仕事がしたいと思ったことが、財団への就職を目指すきっかけになりました。大学生の時には今自分が担当している「主催者育成セミナー」に受講生として参加していました。
この事業の醍醐味・こだわりは何ですか?
「主催者育成セミナー」は、コンサートの開催というひとつの目標に向かって、背景の異なるメンバーが、1年かけて手法を学びアイデアを出し合います。その中で、年齢や所属を飛び越え人と人がつながり、徐々に一体感が生まれていく様子を間近で体感できることです。
「子ども音楽セミナー」は、最初は緊張や不安で固い表情をした子どもたちが、回を重ねていく中で音楽を通し仲良くなっていく様子や、キラキラとした目で一生懸命に表現する姿を見ていると、こちらも笑顔になり元気をもらえます。このセミナーは子どもたちにとって、音楽を楽しむための入口・きっかけにすぎませんが、その後も続けたいと思った子に次の道筋を示せるように工夫しています。
もっと知ってもらいたいことはありますか?
音楽を楽しむ理由や動機は人それぞれで関わり方も千差万別です。ただ、この仕事に携わる身として伝えたいのは、私自身がそうであったように、音楽は人生を豊かにしてくれるということです。音楽の楽しみ方はプレイヤーや聴衆に限らず、指導者であったり、舞台裏で支えたりなど形は様々です。どの立場でも、もう一歩深く踏み込んでみたり、他分野にも興味を持ったりすることで、新たに気付くことや、違う側面からの楽しみ方を発見できるかもしれません。それで音楽の幅が広がれば人生の楽しみも増えると思います。
知ってもらいたい理由を教えてください。
音楽院の事業をきっかけとして、人との交流や様々な経験を通して、自分の世界の広がりや、成長を実感できたとき、それを今度は浜松に還元してもらえるような循環を生み出せると思うからです。原点は浜松であるというような意識、つまりは地元浜松に対する愛着や誇りを持つことで、いつか恩返しをしたいと思ってもらえるようになると、浜松はもっと魅力ある素敵なまちになるのではないでしょうか。
これから何か活動を始めたいと思っている読者へのヒント
「少子高齢化」「情報化社会」「多様性」など私たちを取り巻く環境は日々変化しています。そのような状況にあっても音楽院事業における次代を担う子どもの育成は欠かせないものだと考えます。SNS等の普及もあり、一昔前に比べ子どもたちの興味や関心の幅が格段に広がる中、音楽院として何を提供していくのか、自分なりに考え続けること、そして必要ならば時代に合わせ変化していくことが大切だと思っています。
読者へのメッセージ
浜松市アクトシティ音楽院では私が担当する事業のほかにも、世界レベルの演奏家の育成やコンサート鑑賞、市民が参加できる講座・セミナーまで、幅広く音楽に関わる事業を実施しています。少しでも多くの市民の皆様に興味をもっていただき、音楽人口を増やせるよう頑張ります。市民の皆様、一緒に「音楽の都・浜松」を盛り上げていきましょう。
ここからは、事業の取り組みをより詳しくご紹介します。
~音楽で人や世代の循環を生み出す~
子ども音楽セミナー
子どもたちが楽器や音楽に触れ、演奏する楽しさと、成果発表することにより達成感を味わうことができるセミナー。「邦楽」「吹奏楽」「洋楽」の3教室を開講。対象は小学1年生から中学生まで。講師はNPO法人浜松生涯学習音楽協議会の認定指導員。ボランティアとして参加している高校生との間にも交流が生まれている。
主催者育成セミナー
一般公募により集まった市民がコンサートの開催に必要な企画制作、広報戦略、印刷物制作、舞台演出、著作権、アーツマネジメントなどの知識を学び、その集大成として実際にコンサートの開催までを実体験する。セミナーはコンサート本番を含め年12回。全国でも珍しい試みの講座として注目されている。
浜松国際管楽器アカデミー&フェスティヴァル
世界的に活躍する管楽器アーティストを迎え、演奏家を目指す若手音楽家のための育成セミナー。ハイレベルな個人レッスンに加え、講師を含む一流アーティストによるコンサートや、受講生たちが交流する機会が用意されている。また浜松市民を中心に一般の方々が気軽に管楽器の響きを楽しめるコンサートを開催することで、浜松での音楽文化交流と世界に羽ばたく音楽家の育成を目指している。
【主催】浜松市・(公財)浜松市文化振興財団・ヤマハ株式会社・ヤマハ音楽振興会
浜松国際ピアノアカデミー
世界で活躍するピアニストの育成を目的としたセミナー(マスタークラス)及びピアノを楽しむ方を対象にした「大人のためのワンポイントレッスン」を開催。浜松市民だけでなく、より多くの方々にピアノの可能性を感じていただき、その楽しさや奥深さに触れていただく。