イベント2018.11.28
イタリア・ボローニャの劇団が浜松に
2018年10月、イタリア・ボローニャ市から、マルコ・ロンバルド評議員(市長代理)や劇団「アルテ・エ・サルーテ」のメンバーが浜松を訪れました。
このレポートでは、ボローニャの皆さんの浜松滞在中の様子を一部ご紹介します。
ボローニャは、浜松市と同じく「ユネスコ創造都市ネットワーク(音楽分野)」に加盟する創造都市です。浜松市とボローニャ市は、2014年4月に音楽文化交流に関する覚書を締結し、音楽家や青少年の音楽団体の交流、音楽教育の関係者による教育法についての情報交換などを行ってきました。また、静岡文化芸術大学とボローニャ大学は2014年4月に交流協定を結び、これまでに10人の学生の交換留学を行っています。
イタリアにおける〔障がい×芸術〕
イタリアでは、1978年に、精神科病院の新設やすでにある精神科病院への新規入院などを禁止し、入院医療の代わりに地域精神保健を推進する法律(通称:バザーリア法)が制定され、精神疾患の人々が地域の中で当たり前に生活できるように支えるシステムを構築しています。障がい者による音楽や演劇の公演が盛んに行われているのもこうした考え方によるもので、彼らは、芸術表現に取り組むことで、自立性を高め人生を輝かせています。
今回浜松市を訪れた劇団「アルテ・エ・サルーテ」は、精神疾患を持つ患者らが所属し、演劇や人形劇、ラジオ番組制作などの活動をしています。バザーリア法制定40周年を記念して、特定非営利活動法人東京ソテリアによる世界精神保健デー(毎年10月10日)普及事業として初来日し、音楽文化交流に関する覚書を締結している浜松市での公演が実現しました。
▲クリエート浜松での公演の様子(10月11日) ※
浜松での様々な交流
公演を2日後に控えた10月9日、マルコ・ロンバルド評議員(市長代理)や劇団の代表者が浜松市役所を訪れ、長田副市長と面会しました。これまでの音楽文化交流を振り返り、お互いの協力に対する感謝を伝え、精神保健分野におけるイタリアの先進的な取り組みについて意見交換しました。
▲意見交換を行うロンバルド評議員(左から5人目)と長田副市長(右端)ら
また、浜松滞在中には、世界中の楽器と楽器に関する資料を収集・展示している浜松市楽器博物館や、今年7月にオープンしたヤマハ株式会社の企業ミュージアム「イノベーションロード」も訪問。楽器のまち・音楽のまちとしての浜松市の魅力を体感していただけたようです。
▲楽器博物館にて ※
▲イノベーションロードにて
静岡文化芸術大学では、ボローニャ大学に留学していた学生を含む有志の方々が集まり、交流会を行いました。他にも、浜松での公演を支援している有志の方々との交流、認定NPO法人クリエイティブサポートレッツが運営するアルス・ノヴァなどの福祉施設の訪問と、滞在中に多くの浜松市民と交流したボローニャの皆さん。それぞれの場所での対話を通じ、浜松での多様な取り組みに理解を深めていただけたのではないでしょうか。
▲静岡文化芸術大学での交流会 ※
▲支援者の方々との交流会 ※
▲障害福祉施設アルス・ノヴァにて
ボローニャは、歴史ある大学や歌劇場、貴重な鍵盤楽器を所蔵する古楽器博物館などがあり、伝統を大切に守っている一方、クリエイティブなイノベーションを起こそうとする若い芸術家や専門家を支援したり、LGBTの人々による合唱団のフェスティバルを開催したりと、新たな取り組みにも熱心にチャレンジしている街です。そんなボローニャの取り組みから、私たちも学べることが多くありそうですね。
※写真提供 特定非営利活動法人東京ソテリア
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