イベント2018.12.28
ピアノコンクールの舞台裏で~スクールコンサート~
2018年11月8日から25日まで開催された「第10回浜松国際ピアノコンクール」。会場のアクトシティ浜松には連日多くのお客様が訪れ、才能あふれる若いピアニストたちの演奏を見守りました。予備審査をパスした出場者88人が第1次から第3次までの厳しい予選と本選を闘い、その中で様々なドラマが生まれ、ジャン・チャクムルさん(トルコ)の優勝で幕を閉じました。
予選の結果、惜しくも次のラウンドに進めなかった出場者には、浜松での経験をこれからのピアニスト人生に生かしてもらえるようにと、様々なシーンでの演奏機会や市民との交流の場が提供されます。このレポートでは、その取り組みの1つであるスクールコンサートの様子をご紹介します。
体育館がコンサート会場に
今回、スクールコンサートは市内の小中学校10校(うち2校は合同開催)で行われることとなりました。そのうちの1つ、大平台小学校でのスクールコンサートには、アレクセイ・タルタコフスキーさん(アメリカ)が出演しました。まずは学校のピアノの感触を確かめながらのリハーサルです。コンクールの会場とはピアノの状態も音響も違いますが、丁寧に自分の演奏を確認している様子でした。
そして、いよいよ本番です。ピアノコンクールの説明とタルタコフスキーさんのプロフィールが紹介された後、ラヴェルの「鏡」、ストラヴィンスキーの「ペトルーシュカからの3つの断章」など、45分間の演奏を行いました。
体育館いっぱいにピアノの音色が響きます。児童の皆さんは、普段聴く機会の少ない本格的なピアノの演奏に、真剣に耳を傾けていて、すっかり演奏に引き込まれているようでした。
ピアニストと子どもたちとの交流
演奏の後、タルタコフスキーさんへのインタビューがありました。「ピアノの練習は毎日どのくらいするのですか?」という質問に対し「普段は1日に4時間から6時間、コンクールの前は14時間くらい練習します。」と答えると、児童の皆さんからは驚きの声が上がりました。「毎日練習をし続けなければならないのは大変ですが、思った通りに弾けたときは嬉しいです。そういう時はなかなかありませんが。」という言葉からは、ピアニストとして成功するための苦労が想像されました。一生懸命努力する姿に、子どもたちも何か感じるものがあったのではないでしょうか。
終演後、校長先生やALTの先生の案内で校舎内を回ったタルタコフスキーさん。ご自身にも9歳になる双子の妹さんがいらっしゃるそうで、妹さんと同世代の子どもたちと触れ合い、コンクールの緊張感から解放されたひとときになったかもしれません。
このようなスクールコンサートの他に、ショッピングモールやホテルのロビーで行うシティコンサートや、ホームステイ先のお宅などで行うホームコンサートなど、コンクール会場以外でも出場者の演奏を聴くことができるのが、浜松国際ピアノコンクールの魅力の一つです。次回のコンクールでも、世界から集まるピアニスト達の素晴らしい演奏に期待しましょう。
浜松国際ピアノコンクール公式ホームページ
http://www.hipic.jp