人2015.12.17
浜松の魅力を世界へ発信する[後編]三井いくみさん
〜まだよく分からないけれど、面白そうなコトやサービスと出会ったとき、どのように接しますか?〜
ものづくりのまち・浜松のこれから
楽器やバイクといったプロダクトを中心に成長してきた浜松。これからはサービス業が育たなければ、創造都市とはいえないのではないか、三井さんはそう指摘します。人と人がコミュニケーションすることによって成立するサービス業は、観光においても魅力的なコンテンツになるはずだと言います。
「これまで浜松は大きな商売をしてきたから、お金にならないことになかなか手を出さない。観光やサービス業といった小さな商売に、あまり価値を見いだせないのかもしれないですね。でも、そんな発想を続けていたら衰退していくと思います。 今はものづくりと観光が切り離されていますが、今後は互いに歩み寄り、ものづくりのサービス業化、ものづくりを通したコミュニケーションが生まれるのではないか、そんな期待もあります。 職人さんって、とても魅力的だと思いませんか。でも観光にまったく興味がないんですよね(笑)そんな方たちをどうその気にさせるか、今後の課題です。無理強いさせても意味がないですし、心がともなっていないサービスは逆効果ですから」
「新しいことを始めると、いろいろと言う人がいるのも事実です。一方で、走り始めると応援してくれる大人が現れるんです。 直接的に何かって訳ではないですが、温かく見守って応援してくれる。『インハマって面白いらしいよ』と広めてくれたり、好きにさせてくれるので、こちらも安心して全力で走ることができます。若者や新しいことを始める人を影ながら応援してくれる大人の存在は、とっても大事だと思います」
「浜松にはスタンダードなものは多いけど、個性的なものってまだまだ少ない。新しいことを始める人が増えて、特徴あるサービスが育っていけば、もっと魅力的な街になると思いませんか」
日本に来る外国人は、40%が観光や研修旅行などの団体。残りの60%がFITと呼ばれる個人観光客、留学や企業実習生などの個人。この比率はますます高まると予想されます。また、来日理由としてよくあがるのが、「人に会うため」。日本人がお盆や正月に家族や友人と会うように、外国人も日本にいる家族や友人に会いに来ることが多いと言います。
「団体で観光地を巡る外国人観光客のための整備も大事です。一方で、個人観光客は別のものを求めているという事実も知って欲しいです。観光というと難しく考えてしまいがちですが、物質的な価値だけでなく、コミュニケーションを介した目に見えない価値が求められているのではないでしょうか」
「インハマは浜松に住む外国人を対象にしているのか、それとも観光客を対象にしているのかと聞かれることがありますが、私は特に分けて考えていません。 観光地やおいしいレストランの情報も大切ですし、どのバスに乗れば目的地に行けるのか、コンビニやスーパーでの買い物のルールなど、浜松で暮らすための情報は、観光で訪れた外国人にも必要な情報です」
「自分の経験ですが、海外で観光地を巡るのは初日だけで、あとは街のスーパーに行ったり、本屋や文房具屋に行ったり、その街の暮らしを体験するのがとても面白いんです。浜松は、京都や浅草みたいなメジャーな観光地ではないからこそ、ローカルなライフスタイルを提案してもいいと思います。 ふと訪れた街で不都合なく移動でき、街の人とおしゃべりを楽しみ、その土地ならではのサービスを体験する。そんなことが、またこの街に来たいという動機につながると思います」
「会いたい人がいると、その人が住んでいる街も好きになりますよね」
三井さんがどんな想いでインハマと向きあっているのか、この言葉に込められているような気がしました。
三井いくみ
浜松市中区出身。株式会社 mocha-chai (モカ・チャイ)代表取締役。2012年、外国人スタッフとともに訪日外国人向け情報サイト「iN HAMAMATSU.COM」を立ち上げる。さらに、多言語販促ツールの制作や、訪日外国人向けマーケティング調査などのインバウンドサポート事業も行う。
株式会社 mocha-chai (モカ・チャイ)
ポスター・カタログ・パンフレット・新聞広告など、広告全般・販促の企画・デザイン ポータルサイト「iN HAMAMATSU.COM」企画運営。
静岡県浜松市中区春日町194
info@inhamamatsu.com
iN HAMAMATSU.COM
旅好きを共通点にした日本人と外国人スタッフによるクリエイティブチーム。「徹底した旅人目線」で観光をデザインしている。ウェブサイトの運営、イベントの実施など、さまざまな活動を通してインバウンド促進をサポート。