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2023.02.21

課題解決を目指す中で生まれたニコニコになれるクラフトコーラ[前編]/杏林堂薬局 小山梓さん 武川明日香さん

ドラッグストアの杏林堂薬局は地元のみかん農園・障害者就労支援施設と連携し、クラフトコーラを開発しました。第1弾では、大きさの不揃いや、見た目の悪さで売り物にならなかったみかんを活用した「クラフトコーラ ニコラ」を、第2弾では、摘果青みかん(栽培の過程で余分な実を間引く時にとれるみかん)を活用した「クラフトコーラ グリーンニコラ」を開発し、反響を呼んでいます。

ドラッグストアとして地域で親しまれている一方で、このような商品を開発された経緯をお聞きしました。

▲開発プロジェクトの若手メンバーである小山梓さん(左)・武川明日香さん(右)。

 

――今回クラフトコーラを開発された経緯を教えてください。

杏林堂薬局では、地元の農家さんから地元の野菜を直接納品してもらい販売する「地場野菜」のコーナーが一部店舗にあります。そのコーナーがあることで、納品に来られる農家さんと直接話す機会があるのですが、お話する中で農家さんの悩みを知りました。後継者がいない、畑のメンテナンスが大変、本当はまだ食べられるのに見た目の問題で商品にならない作物が多い・・・など、農家さんの悩みはたくさんあるのです。悩みを聞きながら、何か杏林堂薬局で手助けできることがないだろうか?と考え始めました。

そんな中、ある一人のみかん農家さんが余ったみかん、商品にはならないみかんを再利用したり近所の方に配ったりしているという話を聞きました。そのことをヒントに、流行りのクラフトコーラにみかんの皮を入れ、再利用しようとなったことがクラフトコーラ開発のきっかけです。

 

――クラフトコーラはどのようにして出来上がったのでしょうか。

始まりである第1弾は、企画から商品化まではだいたい半年くらいで、そこからラベルの製造、クラウドファンディングを行い店頭販売までには全部で1年弱くらいかかりました。

第2弾はもっとスムーズに進み、だいたい6ヶ月くらいかかりました。

第1弾は6名、第2弾は第1弾のメンバーに新たに1名加わった7名のメンバーでこのプロジェクトに取り組みました。メンバーは各支社から幅広い年齢の人が集まっていて、年齢層はバラバラですが、メンバー内で一番上の立場である方が「このプロジェクト内では上下関係を気にせず、みんなフラットな立場で意見を出してほしい」と言ってくれたので、若手の立場からも意見が言いやすかったです。アイディアや発言したことが形になりやすく、風通しの良い雰囲気で取り組めています。

▲プロジェクトメンバー。和気あいあいとした雰囲気が写真から伝わります。

 

製造は、みかんの皮を粉末にしてクラフトコーラに入れるのですが、粉末にする加工を小ロットで行ってくれる企業がなかなか見つからず困っていました。その時、地元の障害者就労支援施設である「KuRuMiX」さんに相談したところ、粉末化する作業を快く引き受けてくださりました。KuRuMiXさんは地元の原料を使用した商品づくりの一方で、フードロス対策や、牛乳パックをパッケージに利用するなどSDGsへの貢献にも力を入れています。第2弾の青みかんを活用したクラフトコーラ開発の際にも、青みかんを加工する作業をお願いしました。

 

 

 

▲第1弾の開発で使用したみかん。商品にならないみかんを乾燥させ、粉末化します。

 

実は、第2弾の開発時にも困ったことがありました。第2弾では摘果青みかんを活用した商品を考えていたのですが、いざ青みかんを集めてみると期待していたほど集まらなかったんです。なぜかというと、摘果で落として捨てるみかんをわざわざ拾い集めるのが面倒な作業だったからです。落としたみかんを再利用したいと考える農家さんもいれば、落としたみかんを拾うのは手間だと考える農家さんもいて、農家さんによって考え方はそれぞれなのが現状でした。思ったよりも量が集まらず、どうしようかと考えていたところ、縁あって静岡県立浜松湖北高等学校 農業科の生徒さんに協力していただき、青みかんを集めることができました。

 

 

▲第2弾の製作で使用した摘果青みかん。青みかんは栄養価が高く、身体にも良いのです。

 

肝心の味ですが、クラフトコーラ初心者の方でも飲みやすいようにプロジェクトメンバーで試飲を重ね、味のバランスを調整しました。シナモン、クローブ、カルダモンと3種類の香辛料や生姜が入っているのですが、配合を変えると味も大きく変わってきます。特に生姜は主張が強いのですが、みかんの香りを引き立たせたいので生姜の味が強く出ないように気を付けました。

 

▲第2弾で摘果みかんを提供していただいた湖北高校の生徒さんも試飲に参加。より幅広い年齢の方から好まれる味に仕上がるよう意見をもらいました。

 

クラフトコーラ開発の経緯についてお聞きしました。開発は一筋縄ではいかず、地元の障害者就労支援施設や高等学校など多くの方と連携したことで、商品が仕上がったということが伺えました。

後編では、商品に対するお客様からの反応や、今後の展望についてお聞きします。

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