人2021.10.29
浜松を代表する食文化“餃子”の伝道師に[後編]東亜工業株式会社/請井正さん
“ギョーザ”というと中国では茹でて食べる水餃子が一般的ですが、日本では焼き餃子が食文化として根付き、多様に発展してきました。浜松餃子のように円形に焼いた中央に茹でモヤシを添えるなど、オリジナルのスタイルも生まれています。
しかし、餃子製造機器メーカー 東亜工業株式会社の請井社長は、餃子にはまだまだ未開の可能性があると言います。
▲餃子専門店「浜太郎」1号店
〔前編よりつづく〕
「2010年に浜太郎という店舗の1号店をオープンし、現在2021年6月時点で4店舗。4店とも餃子を扱っていることは共通ですが、その他は業態としては全部バラバラです。ビジネスとしては、一つの業態を確立してこれを店舗展開していくのが一般的です。それが正解だと思いますが、わたしの目的としてはテスト的な側面もありますので。一つの業態として成功したら、またちょっと違う切り口でやってみたら市場がどんな反応をするかな?というように。」こうした思いから、餃子とともに人気のから揚げをかけ合わせた店舗、お酒と一緒に18種類の餃子を食べ比べできる店舗もうまれました。さらに昨年からのコロナ禍で需要が高まっているのが完全非接触型のお持ち帰り専門店です。今年の7月に始めたこの業態は現在、市内5店舗に拡大しています。
「いろんなパターン、バリエーションをやってみて、それぞれがちゃんと収益があって、そしてわたしの思いや味やレシピや調理法や、餃子のいろんな可能性をいろんな形で発信していく。それがこの道で餃子ビジネスをされている方々や起業する方のヒントにもなればいいと思っています。市場が活性化されることになるし、絶対に需要に繋がる。」
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餃子の可能性を追求する請井社長の目線は、海外にも向けられています。「わたしは野球が好きなので、例えば野球観戦。ニューヨークのスタジアムでヤンキースの試合を見ながら、ビール片手に餃子を食べるとか。それくらい、世界中のどこでも手軽に餃子が食べられるようになるといいですね。味もその国や地域に合わせていろいろな味があっていいと思います。インドならカレー味とか、イタリアならトマトチーズ味のように。」メディアでも取り上げられているのが『ギョーザバー』。ワインやシャンパンのお供に餃子を楽しめるお店が海外で人気が広がり、日本にも逆輸入されています。
「餃子は大衆食です。みんなが好きで、使う食材も高級ではない、手軽で栄養価も高い。そういった餃子の魅力をもっと知ってもらいたいし、みんなが気づいていない可能性を発信していきたいですね。」
▲東亜工業株式会社 社長の請井正さん
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会社はいま、第3のステージに入ったといいます。「第1は機械の開発・製造・販売、第2にショップ展開とソフトの多様化・発信、そして今後はもう一歩お客様のビジネスに踏み込んで、第3のコンサルティングとノウハウのパッケージ販売です。餃子の工場を作り、その工場がカバーできるエリアでのビジネスを展開するお手伝いをしたいですね。ハード・ソフト・ノウハウのパッケージ。フランチャイズと言っても、信頼してエリアを任せていくパートナーのようになりたい。企業の発展・成長は人次第ですから。思いを共有・共感して同じ方向を向いてくれる人を増やしたいですね。」
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「餃子自体を海外に売るわけじゃなくて、餃子という文化を伝道師のように海外に広げていけたらいいなと思う。そこに後からビジネスチャンスは繋がってくる。」取材の始めにこう話していた請井社長。先代から受け継がれる“ものづくり”の精神と、固定観念を打ち破る発想力で、このコロナ下でも製造が追いつかないほど機械は売れています。日本の食文化を代表するものとして、寿司やラーメンと並んで“餃子”が挙げられる日も近いかもしれません。
東亜工業株式会社 https://www.toa-industry.co.jp/
(写真提供:東亜工業株式会社)